『いぼ痔の手術方法』自分に合った手術方法を知る

お尻からの出血、排便後のいぼがきになるなど、いぼ痔は発症すると日々の生活に支障を出てしまいますよね。
私もいぼ痔で10年ほど悩んでおりました。
実際に病院に相談し治療に励むもなかなか治らずに手術することになってしまいました。
手術に不安はつきものです。
そこで今回記事ははいぼ痔に悩んでいる方、いぼ痔が手術の段階に来てしまった方の不安を少しでも和らげられるものになればいいかと思います。
私が受診した都内の某病院の先生と私が働いている病院の先生から教えていただいたこと、私自身が調べたことをもとに、いぼ痔の手術方法の解説・メリット・デメリットをお伝えできればと思います。
目次
手術方法を知る前に~病院未受診の方へ~
手術方法を紹介する前に、まずは病院を受診することの重要性についてお伝えしたいと思います。
既に通院されている方は次の項目からお読みになっていただいて構いません。
おしりに違和感を感じ、その正体についてインターネットで調べている方もいるかと思います。
そのような方はとにかくすぐに病院に受診しましょう。
少しでも受診が遅れると手遅れになる可能性もあります。
その症状、実は痔でない可能性もあるのです。
下の記事で詳しく解説しておりますのでぜひ参考にしていただければと思います。
いぼ痔の手術方法はたくさんある!?
では本題に入りたいと思います。
いぼ痔は生活習慣に起因することがほとんどです。
ですから治療としては、生活習慣の改善と軟膏や座薬を併用して行っていきます。
それでも改善しなかった場合に手術適応になります。
また重度のいぼ痔の場合にはすぐに手術適応になることもあります。
そしていぼ痔の手術方法はいくつか種類あります。
どの手術方法が適応になるかは先生から指示されたり、患者自身が選択する場合もあります。
また手術方法を知っていれば患者から相談することもできます。
既に手術を勧められている方も、そこまで重度でない方も手術方法を知り不安を追い払ってしまいましょう!
では早速解説していきたいと思います。
痔核結紮切除術
概要
痔核組織を剥がしてその根部にある痔動脈を結紮(縛る)後、痔核組織を切除していく方法です。
メリット
・昔からある確立された方法で、しっかり治る(根治性)可能性が高い。
・確立された方法であるため合併症などの検討も十分なされている。
・重度の痔核でも適用される。
デメリット
・1週間ほど入院が必要。
・術後の痛みが強いことがある。
ゴム輪結紮法
概要
痔核の根本をゴムで縛り、壊死させます。その後痔核は自然に脱落してきます。
メリット
・痛みが少ない
・軽度の痔核では日帰り手術・外来通院で治療できる。
デメリット
・重度の痔核や外痔核が伴う場合は行えない。
・痔核が脱落するまで1~2週間かかる。
分離結紮法
概要
原理はゴム輪結紮法と同じです。ゴムなどで縛って痔核を脱落させます。
ゴム輪結紮法と異なる点は、ゴムなどを痔核に対してクロスさせ縛ります。
メリット
・日帰り手術・外来通院できる。
・重度の痔核や外痔核でも適用できる。
・切除術と比べ脱落部の伸展性を保つことができ、術後の一時的な排便障害が起こりにくい。
デメリット
・痔核が脱落するまで1~2週間かかる。
・術後の痛みが強い場合がある。
(個人差はあるが切除術に比べ痛みは少ないとされる)
硬化療法
概要
5%フェノールフタレイン(PAO)を使用する方法と硫酸アルミニウムカリウム(ALTA)を使用する方法があります。
ジオンという薬剤を使用することもありますが、これは硫酸アルミニウムカリウムを主成分としたものです。
上記薬剤を痔核に注射すると軽い炎症が起きます。炎症が起きると次第に組織は線維化し、縮小および硬化します。
メリット
・日帰り手術~1泊二日の入院で済む。
・術後の痛みが少ない。
・切除術と併用することで、切除術のみ行うよりも術後の痛みや合併症を減少させることができる。
デメリット
・再発する可能性が高い。
・繰り返しの手術(注射)で効果が薄れていくことがある。
・重度の痔核にも行うことはできるが再発率、効果度、治癒期間が切除術と比べ劣るため、通常は軽度~中程度でしか行わない。
PPH法
概要
PPH(procedure for prolapse and hemorrhoids)は直腸粘膜を環状に切除・縫合し痔核組織を釣り上げて引っ込ませます。
また上直腸動脈からの血流を遮断し、痔核を縮小させます。
比較的新しい手術方法のため長期的な治療効果が明らかでない部分もあります。
メリット
・痛みが少ない
・排便への影響が極めて少ない
・入院期間が切除術と比べ比較的少ない
・おしりに傷をつけないため、きれいに治療できる
デメリット
・10年以上経過した際のデータに乏しいため、長期的な再発率が明らかになっていない。
・医師の技術が重要とされる
・直腸へのリスクも否定できないことから、この手術法を適用しない病院も多く総合的なエビデンスが足りない傾向にある。
・重度の痔核や外痔核では適用できない
半導体レーザー療法
概要
痔核にレーザーを照射することで組織を縮小させる方法です。
また半導体(ICG:インドシアニングリーンなど)を痔核に注入しレーザー光を吸収させることで、痔核下の組織への影響を少なくしています。
ここで使用する半導体は人体に無害なものです。
現在ほとんどの医療機関では同じレベルの痔核が適用である硬化療法を代わりに行っています。
メリット
・痛みが少ない
・日帰り手術が可能な場合もある
デメリット
・重度の痔核や外痔核には行えない
・再発率が硬化療法より高い
補足
・半閉鎖法
先生から「傷口を少し開けておくからね」と説明されることがあるかと思います。
これは半閉鎖法を指していて、傷口を少し開けておくことで細菌による化膿を防ぎます。
傷口から微量に出血を促すことで、傷口に細菌が留まるのを防いでいます。
ですから排便時に少ししみるような痛みがあるかもしれません。
・レーザーで切ったといわれた
医療においてレーザーは様々な場面で利用されていますが、痔においてはメスの役割や先ほど紹介したレーザー法があります。
レーザー法は現在ほとんど行われていませんから、切除法などでメスとして使われたと考えて良いと思います。
重症度に応じた手術の適用
各手術法の解説で少し触れてきましたが、ここではそれを一覧にして分かりやすくしたいと思います。
レーザー法は硬化療法に代わっているため、一覧に載せていません。
別の手術法と併用した場合は除いています。

〇と×はその手術方法が主に適用されるかどうかを表したものです。
Goligher分類
臨床的分類の1つにGoligher分類があり、簡便で普遍性があるため一覧でもまとめた通り手術選択の指標として使われることが多いです。
この分類は内痔核の脱出・還納(出る・戻る)の程度を患者の自覚症状により4段階に分けたものです。
下に紹介します。
Ⅰ度:排便時に肛門管内で痔核は膨隆するが、脱出はしない。
Ⅱ度:排便時に肛門外に脱出するが、排便が終わると自然に還納する。
Ⅲ度:排便時に脱出し、用手的な還納が必要である。
Ⅳ度:常に肛門外に脱出し、還納が不可能である。
最後に
今回はいぼ痔の手術方法について紹介しました。
痔持ちの方は日々不安を抱いているかと思います。
手術方法を知ってイメージすることで少しでも不安が和らいでもらえればいいなと思います。
そして先生方はあなたにとって最善の方法を選択してくださいます。
先生と相談しながら安心して治療に励んでいただき、速く以前の快適な生活に戻れるように頑張りましょう!!
今回もお読みいただきありがとうございました。
ではまた次回に。。
参考資料
南江堂 肛門疾患(痔核・痔瘻・裂肛)診療ガイドライン 2014年版
編集 日本大腸肛門病学会
https://www.coloproctology.gr.jp/modules/journal
/index.php?content_id=7
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