【現役臨床検査技師:経験談】就職先/仕事内容を紹介【検査編】

現在私は臨床検査技師として7年ほど働いております。
その中で感じたことがあります。
「臨床検査技師って世の中に全然認知されていないじゃないか」
少なからずこの記事を見ている方は検査技師の存在は知っていると思います。
ではどんな場所でどんな仕事をしてるのでしょうか。
臨床検査技師の就職先についてまとめてみました
このようにたくさんの活躍できる場があるのです。
今回は左の一覧「検査業務を主に行う職場」について紹介します。
また職場の仕事内容や楽しさ、嫌な部分を紹介していきたいと思います。
私は病院2年、クリニック・健診センターで4年、検査センターで2年働いていました。
現在は週3日検査センターで働きつつこのような発信活動を行っています。
私の友人や先輩・後輩も他分野で働いており、時々会って色々な話をしています。
臨床検査技師は他分野で活躍できるとてもやりがいがある職業です。
臨床検査技師に少し興味がある方、既に動き出している方ぜひ参考にしてみてください。
就職先/仕事内容(検査内容)
今回紹介する職場は私が経験したことと、周囲の検査技師に話を聞いたことをもとに解説しています。
もう一度、臨床検査技師の就職先(職場)についてまとめてみておきましょう。
※青文字をクリックすることで各項目へ移動できます。
ではさっそく見ていきましょう。

まず病院には様々な規模があります。
それぞれの規模で検査技師の働き方も微妙に違ってきます。
一般的には
「400床以上の大病院」
「200床未満の中小病院」
「200~399床で大中小の特徴を持った病院」にわけられます。
仕事内容(検査技師のポジション)の違いはこの分類とは異なってきます。
私の経験上約1000床以上の病院(大学病院など)は部署も多く1つの検査分野にとどまることが多いです。
1000床未満(特に500床以下から)の病院は病院中の検査を1つの検査部が担当することが多いです。
つまり大きい病院ほど部署も多いので同じ検査技師でも他部署への移動(他分野の検査を担当)することがほとんどないということです。
大きい病院で1つのことに特化するか、マルチでこなせるようになるかの違いになります。
※診療所:19床未満の医療機関
※クリニック:診療所とほとんど変わらないが、診療科が1つの場合にクリニックと呼ぶことが多いです。
では仕事内容・楽しさ・嫌な部分を以下にまとめます。
・生理機能検査(対人)・検体検査(対血液/細胞)・採血(対人)・手術モニター(心電図や超音波、内視鏡など)・医師業務助手(小規模の病院など)
最後の「医師業務助手」は規模が小さくスタッフが少ない場合、看護師とや医療事務と同じような業務を担当することもあります。
・患者や家族からの「ありがとう」で自分の存在意義を保てる・他の医療従事者と連携が取れた時の達成感・患者の病態とリンクして自分の知識や検査データが確立したものになる・自分の探求心や知識の積み重ねが短期間でコミットできモチベーションが上がる
・サービス業であるため嫌な患者や家族を担当すると萎える・医療界の序列が顕著な職場もある・1つ1つの行動が患者の命に関わるというプレッシャーが大きい・出勤体制が一律ではなくリズムが崩れやすい(夜勤や祝日の出金など)

健康診断や検診を専門とする医療機関です。
病院やクリニックが健診部門を設けている場合や、健康診断だけの施設、健診車として各企業を回っていくケースがあります。
病院等と異なり、基本的に健常者を相手にするため重篤な疾患よりも軽微な臨床増や正常像を見ることが多くなります。
しかし多くの正常像から異常所見を拾うことに最も意味があるため、病院等での経験があれば大きな力になります。
経験がなくても研修に行ったりとやれることはあるので自分の行動次第で十分にスキルアップすることが可能です。
では仕事内容・楽しさ・嫌な部分を以下にまとめます。
・生理機能検査(対人)・検体検査(血液)・採血・医師業務助手(内視鏡など)・検査結果一部作成
・自分の知識や経験を受診者にアウトプットできる・病院等よりも多くの人と接するため対人スキルが上がる・自分や周囲の人のわずかな検査結果の変化を見分けられ対策できる・1日の検査数が多く毎日が達成感で満たされる
最初の「自分の知識や経験を受診者にアウトプットできる」は病院では患者を不安にさせたり、検査技師として診断を匂わすことを伝えかねないため中々アウトプットは難しいです。
しかし健診センターでは正常者がほとんどのため、自分の知識・経験を伝えやすくまた熱心に聞いてくれる方が多いのでとてもやりがいを感じます。
・疾患を理解し判断できるようになるには病院以上に努力しなければならない・態度が悪い受診者もいるのでストレスになる・受診者数が多いため、より他検査との兼ね合いを常に考えて行動しなければならない

検査センターとは病院や健診センターで採取し集めた検体を一手に検査する施設です。
いわゆる検査の「外注」先が検査センターなわけです。
一般病院や健診センターではできないような特殊な検査や人手・機械不足で行えない通常検査を引き受けています。
無資格者のスタッフも多く働いています。
そのため臨床検査技師免許所有者は特殊検査や最終判定など臨床的知識や技術をいかせるポジションに就くことが多いです。
もちろん本人の希望等で各ポジションで経験を積むこともできます。
また検査センターは「ラボ」といって、病院の一角にスペースを構えるスタイルもあります。
ラボの場合は病院との繋がりが濃く、まるで病院で働いているような感覚を得られます。
では仕事内容・楽しさ・嫌な部分を以下にまとめます。
・検体検査・検体等の集配
・一般病院では行っていない特殊な検査ができる・患者や受診者と接することなく検査業務にあたれる・広い地域または全国から検体が集まるためまれな症例を高確率で経験できる・有資格者というだけで重宝してもらえることがある・同じ部署でも様々な経歴の人と出会える
・毎日検体数が非常に多く仕事が単調化しやすい・機器の不調で検査が止まるとフォローがかなり辛い・若いと夜勤担当になる可能性がわりと高い(交渉次第ではあるが)・+αで勉強した知識を発揮できる場面が少ない

動物病院でも検査技師のニーズがあります。
動物領域でも検体検査や超音波検査があり、従来は看護師や医師が担当していました。
しかしペットブームに伴い最近では検査数が非常に増えてきています。
動物医療業界において人員も不足や検査技術の向上に伴い、検査の専門である臨床検査技師の需要が高まってきているのです。
私の友人は検査センターからの転職でしたが、「なんでこんな良い職場に気づかなかったんだろう」といつもぼやいています。
では仕事内容・楽しさ・嫌な部分を以下にまとめます。
・検体検査(一般、生化学、細菌など)・生理機能検査(超音波、MRIなど)・医師業務助手(一部病院)
・元気になる動物たちを見て満足感が得られる・検査値が人間とは異なるためわくわくする・裏方であることが多く検査に没頭できる
・検査の基礎は同じものの動物の生態や解剖の知識を新たに勉強していかなくてはならない・検体採取時(技師が担当する場合)にじっとできる動物が少なくたいへん
いやな部分は少ないですが、ある意味で未経験の領域で仕事するには努力が必要です。
しかし動物好きの方なら苦ではないと思いますよ。

中小から大手食品会社での衛生検査や成分分析、開発等を行います。
開発分野を希望する場合は、理系の大学を卒業していないと採用してもらえない場合があります。
この業界での臨床検査領域としては、栄養学・臨床化学・微生物学になります。
身近な食品という業界でこの分野が好きな方や極めたい方はおすすめの職場です。
では仕事内容・楽しさ・嫌な部分を以下にまとめます。
・微生物検査(食中毒などの原因菌を同定)・食品中の成分分析(水分、塩分、pH、栄養素など)・食品開発
・食品の栄養成分や微生物に詳しくなり私生活でも応用できる・身近な食品の新しい側面を知ることができて面白い・直接命に関わるというプレッシャーがない
・1日中検査室にこもって作業することが多い・臨床検査技師の付加価値があまりない

土壌や水質、空気環境などの各成分を調べ有害物質等に含まれる量を調べます。
実際に現場に行って採取したり、外注で提出された検体を分析していきます。
また検査項目によっては現場で測定する項目もあります。
友人の経験談によると、会社によって担当業務がだいぶ違い検体採取から結果報告まで1つの部署で行いとても忙しいところや業務分担しているところとあるようです。
検査技師よりも、理系の学校を卒業した作業環境測定士や環境計量士の資格所有者が多いです。
では仕事内容・楽しさ・嫌な部分を以下にまとめます。
・土壌の検査・各水質の検査
・室内空気環境検査・クリーンルーム等の清浄度検査
・現場での仕事もありアクティブでたのしい・自分の仕事で地球環境が改善される感覚が心地いい・その感覚で私生活や意識も変わる
・仕事量が非常に多いときがある・専門性が高く依頼者への説明がたいへん・検査の正確性と忙しさでミスできないというプレッシャーが辛い・汚い環境に身を置かなければならない時がある

保健所で働くためには公務員採用試験(多くは30歳までの制限あり)に合格しなければなりません。
さらに重要なことは公務員採用試験に合格しても100%保健所に配属されるかわからないことです。
公務員の場合、施設ごとではなく職種によって配属を決めるため「臨床検査技師」の資格を持っている場合保健所や本庁の衛生担当課、県立病院、衛生研究所、上下水道場などに配属される可能性があります。
保健所配属の可能性を上げるため受験前に募集しているか電話で確認した方が良いでしょう。
では仕事内容・楽しさ・嫌な部分を以下にまとめます。
・検体検査(感染症など)・食品衛生検査(食中毒など)・水質検査
・病院以上に様々な医療従事者と仕事やコミニケーションが取れる・公務員であるため、勤務時間や休暇が適正でストレスが少ない
・臨床経験が積みにくい・3年周期で移動することが多い

血液センターでも臨床検査技師は活躍しています。
血液センターへの臨床検査技師の就職は少しハードルが高いです。
選考が病院や企業よりも厳しく、さらに枠も少ないです。
スタッフの多くが薬剤師が占めています。
また献血ルームでは採血はもちろん事前検査などで検査技師が活躍しています。
技術的な部分は採血業務になりますので、学生時代や病院などで採血をもっとやりたいと思っている方におすすめです。
では仕事内容・楽しさ・嫌な部分を以下にまとめます。
血液製剤の管理、受注、出庫、配送業務・血液型検査・採血業務(献血所)・他献血ルーム事務業務(献血所)
血液製剤の製造は薬剤師が担当していることがほとんどです。
・輸血や血液領域を一本で極められる・採血主軸の仕事ができる
・ほとんどが立ち仕事・血液製剤の受注、出庫、配送がかなり忙しい
〚総合的に〛大変そう…「否」それは杞憂です!

ここまで読んだ方は臨床検査技師の仕事って大変そう、難しそうと思うはずです。
たしかに経験のない方からするとそのように見えるはずです。
ではなぜ大変そう(難しそう)に見えるのでしょうか?
休みがとりずらかったり、高レベルの仕事でプレッシャーとかヤバそうだからでしょうか。
これらの根端には難しい勉強の積み重ねが大変そうという理由があります。
知識が豊富になれば、日々の業務はイージーモードになります。
プレッシャーは自信に変わり、休みが少なくとも毎日が充実しているはずです。
さてこの勉強ですが、全然大変ではないです。
学生時代3/1は赤点だった友人がいます。
たまに会って「最近どうよ?」なんて聞くと「特に何もないけど」と返ってきます。
勉強について苦労してないんです。
それはなぜでしょうか。
仕事していれば症例を経験し五感で覚えています。
すると参考書を眺めたとたんに点と点が結ばれる感覚になるのです。
すんなり入ってきます。
あえて勉強する際の大変な部分を挙げると「文章を読む」という行為くらいではないでしょうか。
ですから臨床検査技師の免許を取って希望の就職先に行ってしまえば、苦汁をなめるような努力は一切必要ないわけです。
ですからあなたの思っているほど大変ではないです。
医療や検査の仕事をしたいのなら今すぐ行動しましょう。
思いとどまるようなことは全くないと思いますよ。
まとめ
今回は臨床検査技師の仕事内容(特に検査業務)について詳しく紹介しました。
おさらいしましょう。
青文字クリックで詳細へ移動できます。
【開発・営業編】は以下の記事で解説しています。
どの職場もイメージは大変そう、レベル高いなといったイメージがあると思います。
しかし今までどんなに勉強ができなかった人も、毎日仕事をこなしていれば技術はもちろんのこと知識も自然と身につきます。
もともと勉強できる方やこの分野が好きな人は行くところまで行って、論文発表や副院長になったりとかで有名になるかもしれませんね。
もし勉強面や他のことで思いとどまっている方がいるのなら全く心配いりません。
といっても「本当かよ?」と思う方もいるかもしれませんね。
私のブログでは臨床検査技師を検討している方、今頑張っている方の疑問や心配を解決すべく記事を書いています。
仕事内容以外で知りたいこと・心配なことがありましたら他の記事も読んでみてください。
きっと気持ちが晴れると思いますよ。
なんせ私たちが経験してきたことですから。
今回もお読みいただきありがとうございました。
ではまた次回に。。
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