『熱中症予防に麦茶はダメなの!?』暑さ対策に最適な飲み物とは

夏も本番に近づいてきました。
まだ気温が30℃を超えたりすることはありませんので、過ごしやすいかと思います。
しかし湿度が高いので気持ち悪いですよね。
こんな天気でも熱中症の危険があります!
湿度が高いので汗が出ずらく体温がこもりやすいからなんですね。
ですから今記事を読んでいるこの瞬間も熱中症と紙一重なのです。
熱中症については他の記事で詳しく解説していますが、簡単に言えば水分と塩分不足でおこります。
ではあなたが普段のどが渇いて飲んでいるものはなんですか?
麦茶を飲んでいることが多いのではないでしょうか。
この麦茶ですが最近ネットで熱中症のために飲むならばやめたほうがいい、なんて言われていたりします。
私は臨床検査技師として6年ほど働いておりますが、医療人としてこの情報に疑問を持ちました。
今回は身近の飲み物である麦茶が熱中症にどんな効果があるのか、私の医学の知識と調べた結果をもとにわかりやすく解説していきたいと思います。
目次
熱中症予防に麦茶は悪いのか
結論から言いますと、熱中症予防には効果的です。
麦茶が良くない場合というのは熱中症になりかけている時や熱中症になっている時の水分補給として麦茶を飲むことです。
予防としてこまめにとる飲み物としては麦茶はとても良い飲み物だと思います。
ではそれぞれの理由を詳しく解説していきます。
麦茶が効果的でない場合
熱中症になりかけている、熱中症の状態での水分補給としての麦茶は良くないということです。
これは熱中症の原因と麦茶の成分にあります。
まず熱中症は脱水状態かつ塩分も不足している状態です。
この状態で水分または塩分を片寄ってとると悪化するわけですが、麦茶には塩分となるミネラル分(ナトリウムなど)が不足しています。
また麦茶にはミネラルの1つであるカリウムが多く含まれています。
このカリウムは利尿作用を促進する効果があるため、脱水状態には逆効果といえます。
ですから緊急を要するとき(またはそれに近い状態のとき)の麦茶の飲用はよくないのです。
※では何を飲むべきか、それは経口補水液やスポーツドリンクです。
特に経口補水液は体液の組成に合わせて作られているため、吸収力が段違いで速いです。
麦茶が効果的な場合
熱中症予防でこまめに水分補給する際には効果的です。
なぜなら麦茶には体を冷やしてくれる作用と多く含まれるカリウムの利尿作用があるからです。
この体を冷やす作用は後ほど詳しく解説したいと思います。
ここで一つの疑問が生まれると思います。
「水分補給なら他の飲み物でもいいのではないか」
この疑問について各飲み物の成分を比較しながら次の項目で解決していきたいと思います。
麦茶の成分
まず成分を見ていく前に麦茶とはいったいどんな飲み物なのか、ちゃんと知っていただきたいと思います。
麦茶のかんたんな基本知識
麦茶は殻付きのまま焙煎した大麦の種子を、お湯で煮出して煎じたり、水で浸出して作った飲み物です。
大麦には種類があり、麦茶以外にも利用されています。
麦茶には「六条大麦」、ビールには「二条大麦」、麦ごはんには「裸麦」が使用されています。
六条大麦の国内生産1位は福井県です。
そのままおいしく食べられたりと六条大麦は福井県のお土産としていいと思いますよ。
対熱中症:飲料成分比較
では早速、各飲み物の成分を比較していきたいと思いますが、ここでは熱中症予防がテーマですので熱中症予防に効果的な成分についてだけ比較していきたいと思います。
まずは各飲み物の成分を見ていただきたいと思います。

赤太字:含有量1位
赤字:含有量2位
青字:含有量最下位
※アクエリアスも経口補水液が出ています。
この表の重要なポイントは以下の4つです。
[1]熱中症予防で必要な成分が多く含まれているのは経口補水液、スポーツドリンクである。
[2]一般的な麦茶には有効成分があまり含まれていないが、ミネラル分を多く含んだ製品もある。
[3]麦茶は炭水化物(ブドウ糖)、カフェインが含まれていない。
[4]麦茶に比べコーヒーにはミネラル、ビオチンが多く含まれるが利尿作用があるカフェインも多く含まれる。
一つずつ解説していきます。
まず[1]ですが経口補水液、スポーツドリンクは熱中症に対して有効ですが、麦茶に比べると高価なので普段から気軽に飲むことは難しいと思います。
続いて[2]ですがミネラルを多く含んだ麦茶では熱中症予防に効果があることはお分かりかと思います。
しかし他の麦茶も実は熱中症予防には最適です。
その理由は[4]で解説します。
[3]についてです。ブドウ糖はミネラルの吸収速度を高める働きがあります。
これはブドウ糖が含まれていない麦茶が熱中症になった状態に適さない理由の1つというわけです。
カフェインが含まれていないのは利点になります。
カフェインによる利尿作用は体液をより循環させ体温がこもるのを防いでくれます。
しかしカフェインの利尿作用はとても強いので脱水傾向に陥りやすいのです。
[4]についてはコーヒーはミネラル・ビオチンが多く含まれるので一見熱中症予防に良さそうなのですが、利尿作用が強いので逆効果になってしまいます。
しかし麦茶には利尿作用を気にすることなく、少量ながらもミネラル・ビオチンを摂ることができるので熱中症予防に最適というわけです。
ここまでで飲み物の中で麦茶は日常での熱中症予防に良いということがお分かりいただけたと思います。
次の項目ではその理由についてもう少し掘り下げて解説しようと思います。
また記事中にちらっとでてきた「ビオチン」についても解説していきます。
一覧の参考ページ
カロリーSlism
https://calorie.slism.jp/
大塚製薬工場
https://www.os-1.jp/products/os1/petbottle/
#electrolyte-content
日本コカ・コーラ株式会社
アクエリアス
https://www.cocacola.co.jp/brands/
aquarius/aquarius01
いろはす
https://www.cocacola.co.jp/brands/
i-lohas_/i-lohas01
伊藤園
https://www.itoen.jp/products/
detail.php?id=2312
麦茶が熱中症予防に最適な理由
日頃の水分補給として麦茶が最適だということは、ざっくりと理解していただけたかと思います。
この項目ではこの熱中症予防に最適である理由をさらに深く知っていただければと思います。
そんなに難しいことではないので、引き続き読んでみてください。
香り成分のピラジン
原料の大麦には「ピラジン」という香り成分が入っています。
もちろん麦茶にもしっかり入っています。
コーヒー、チョコレート、ナッツにも多く含まれる成分で香ばしい香りの正体です。
ピラジンは血行不良を改善する作用があります。
ピラジンは香りから脳に伝達されて末梢神経を刺激します。
すると末端の毛細血管が拡張し血流がよくなります。
そうなることで全身の血液循環が良好になり、末端の冷えと中心部のほてりが解消されるわけです。
結果として放熱し体温が下がります。
カリウム
ミネラルの1種であるカリウムです。
このカリウムは体液のコントロールにはなくてはならない存在です。
主にナトリウムと拮抗(相互作用)しています。
カリウムを多くとると強くはないですが利尿作用が働きます。
少し専門的な話になりますが、メカニズムとしてはまずカリウムが体内に多く吸収されることで、血中のカリウム濃度があがります。
すると細胞外液(血液など)の濃度を元に戻すために、細胞内の水分が細胞外に出ていきます。
そうすることで細胞外のカリウム濃度が低くなり(薄まり)、細胞外のカリウム濃度が元に戻ります。
しかし細胞外液(血液など)は薄まってしまったため浸透圧が下がってしまいます。
この浸透圧降下を脳の視床下部の浸透圧受容体が検知し、バソプレシン(抗利尿ホルモン)の作用を抑制します。
そうすることで尿が多く作られるという仕組みです。
尿を多くだすことで体内の水の循環サイクル数がより増えます。
これは皮膚近くの血液循環サイクルも増え、そこから多くの熱が放散されていきます。
従って体内の熱をにがし、熱中症を予防してくれるわけです。
因みにカリウムは摂りすぎると高カリウム血症という病気になります。
しかし麦茶に含まれるカリウムの濃度くらいでは、飲みすぎたとしても高カリウム血症になるほどのカリウム濃度には達することはありません。
ビタミンの一種ビオチン
ビオチンはビタミンの一種で別名ビタミンHとも呼ばれます。
有名な働きとして髪の毛などを構成するケラチンの生成や糖・脂質・タンパク質代謝にかかわり肌の新陳代謝を上げることが挙げられます。
他にも頭皮(抹消)の毛細血管を拡張させ血流をよくすることで育毛効果があるとされています。
この抹消の毛細血管の血流を促進させる作用は、ピラジンと同じく抹消の放熱作用を促進します。
よって体のこもった熱を放出し体温を下げてくれるのです。
他の飲み物にも含まれていますが、カフェインが含まれるなど熱中症予防にはわずかながら弊害をきたすため、麦茶が最適というわけです。
この夏おすすめの麦茶
ここまで読んでいただいた方は水分補給を麦茶で行うことを熱中症予防にかなり有効だということを理解していただけてかと思います。
そんなあなたに私がおすすめする麦茶を紹介したいと思います。
ぜひあなたの生活にも取り入れていただきたいです。
すぽーつ麦茶
スポーツと名がついていますが、スポーツ以外の多くの場面で効果を発揮してくれます。
一番のポイントは7種類の原材料をブレンドしている点です。
これにより麦茶の成分はもちろんのこと、特にアミノ酸がかなりの量入っているということです。
スポーツでは多くのアミノ酸を使うため、すぽーつ麦茶という名前がついているのだと思います。
しかしアミノ酸が多く入っている点では一日の疲れをとりやすくしたりと健康面でも良いサポート役になってくれると思います。
熱中症予防と一緒に健康面も補えるすぽーつ麦茶はおすすめです。
ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
こちらのページでは商品情報以外にも麦茶を飲むベストタイミングなども紹介されていますので、見るだけでも勉強になりますよ。
ミネラルむぎ茶
鶴瓶さんのCMでおなじみの麦茶です。
前の項目でも紹介した通り、他の麦茶に比べミネラル(塩分)をしっかり補給できます。
ペットボトルタイプなどもよいですが、おすすめはやはりティーバッグタイプですね。
水分補給は日々こまめにとらなければ意味がありません(体に吸収されないので)
ですから毎日飲むものとしてゴミが出ず、コスパが良いティーバッグタイプがいいですね。
といっても麦茶を飲む場面は色々ありますので、ご自分に合ったものを検討してみてください。
会社で飲む場合は、デスクに置いておけるスティックタイプがいいですね。
ティーバッグで作るのめんどくさい!など
そんな場面でおすすめです。
まとめ
今回はネットで出回っている麦茶は熱中症予防に悪いのかというテーマで解説してきました。
湿気が多い梅雨の時期から、熱中症のリスクはあります。
今すぐ対策していきましょう。
また熱中症について詳しく書いた記事がありますので一緒に読んでいただくと、麦茶以外の対策やいざというときの対応法が分かりますのでぜひご覧ください。
今回もお読みいただきありがとうございました。
ではまた次回に。。
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